聲//
消える 消える ぬくもりが
私の場所を 連れて行く



知らなかった

知らなかった

ありふれた日常がこんなにも大切なものだったなんて

なにごともない、刺激の無い毎日がコレほどまで愛すべき時間であっただなんて

当たり前にありすぎて、それに気付けなかったのです

失って、はじめて気付き、気付いたときにはもう遅い

もしも、だったら、そんな逃げ道をもともと否定する自らの性格にがんじがらめになって
もう、取り返せないのだと漠然と思いながら、それでも取り戻そうと躍起になってもがいている

あの、何事も無い日常を

つまらない授業、つまらない教師

顔色を伺いあうような友人、クラスメート

よく小言を言いながら、それでも優しかった母親

ああ、嗚呼

愛おしき何事も無い平穏なありふれた、人間の日常


返してください

返してください




どうか、ありふれた、平凡なその日常を覚えている間に


ああ、消えていく、消えていってしまう。



とめることのできぬ記憶と言う名の情報の流出に抗えない



こうして、少しずつぬくもりを失って、冷たいただのヒトガタになってしまう前に


ふさいで、ふさいで

すこしでも長く、あの愛すべき平凡な日常を覚えていさせて

それさえも忘れて、自分であって、自分でない意味不明なイキモノになる前に


だれか



chapter01/monologue

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