ハリーとロンが顔を見合わせる。
「・・・・誰からか・・見てみる?」
ロンが悪戯をするような笑みでいった。それにハリーが頷こうとした途端、ハーマイオニーが高い声でソレを制す。
「ダメよ!!!他人のプレゼントを勝手に見るなんて絶対ダメ!」
「なんだよ・・送り主をみるだけだろ?それくらい・・・」
「ダメ!ダメよ!マナー違反だわ!神使とあなた達が仲がいいならともかく、ただ同室ってだけなのよ?勝手なことをしたらきっとおこるわよ!」
ロンが不服そうに言うのをハーマイオニーが厳しくとがめた。
それにロンがムっとた顔を作る。
「ダイジョウブだって!名前を見るくらい・・ばれないよ・・!」
「ばれなければいいって問題じゃないわ!」
すかさずハーマイオニーが言い返す。
始まった2人のやり取りにハリーは苦笑してため息をついた。
ぎゃんぎゃんと意見を飛ばしあう2人を見て、ハリーはすっかり蒼薇のプレゼントの送り主への興味を失った。
失ったというか、ハーマイオニーの言葉に最もだと納得して、本人に聞こうとそう考え直したのだ。
「もう!君はうるさいな!!君だって!神使が誰と交流してるのかとかきになるだろ?!」
「そ・・それは・・ちょっとは・・きになるけど・・・」
ロンの言葉に、ハーマイオニーはもごもごと答える。その答えにロンはホラ見ろとばかりににんまりと笑うと
「じゃあいいじゃないか。見てやろう。」
「ダメよ!!」
言って蒼薇のベットの側に一歩踏み出した。
その時、キィと木の扉が開いて軋む音がして、ハリーはそちらを向く。
ロンとハーマイオニーは言い争いに夢中で気付いていないようだった。
「あ・・・・。」
スルと、隙間からのぞいた白い指。
次いで、除いた色素が薄めの漆黒の髪と、整った綺麗な容姿。
神使
ハリーがそう紡ぐ前に、蒼薇が言葉を放った。
「・・・・何をしてるんだ・・・・・・。」
言い争いで、騒音に満ちていた空気の中でも妙に通る透き通った声に、ロンとハーマイオニーはピタリと論争をやめて、声のほうに視線を向ける。
途端、引きつった表情で2人は固まった。
ハリーがあちゃ〜と言うように片手で顔を半分覆う。
「・・・・や・・やぁ・・神使・・おはよう・・・・。」
引きつったような声でロンが言った。
言葉に蒼薇は一瞥を送る。
「・・・・ハーマイオニー=グレンジャー・・君は女性だから男子寮にはきちゃいけないはずだけど・・?」
挨拶を返さず、それだけ淡々と言って、蒼薇はスイと入り口から足をすすめる。
腕に大切に蒼い花束を抱えて、その花束の花びら、一片すらこぼさないように慎重に細心の注意を払って蒼薇は歩く。
「・・・・・邪魔なんだけど・・・?」
自分のベットのそばまで来て蒼薇はベットの側に向き合うようにして固まっているロンとハーマイオニーに言う。
抑揚のない声だった。
それにロンはカっと顔を赤くして、何か怒鳴ろうと息を吸うが、それをハーマイオニーが強く腕を引いて制する。
「ご。ごめんなさい、神使・・・」
そう、無理矢理引きつった笑みを作って、ハーマイオニーはロンごとその場所から身体を動かした。
と、
「あら・・?」
視線が蒼薇の足元に不意にいき、ハーマイオニーは声を漏らした。
「神使、アナタはだしのまま外に出たの?!」
途端ハーマイオニーが声を上げた。
言葉に、蒼薇は腕に抱えた花束を天蓋の隙間からベットチェストに丁寧に横たえながら背を向けた状態で「ああ。」とだけ返す。
ハーマイオニーの言葉に、ハリーとロンも蒼薇の足元に眼をやった。
確かに蒼薇は素足のままで、その白い足にうっすらと泥が付着し、血がじんわりと滲んでいた。
ハリーはソレを見て眉根を寄せると、自分のベットの荷物の中から清潔なタオルを取り出す。
そして、ソレを蒼薇に投げてよこそうとした。
「必要ない。ハリー=ポッター。」
ソレを途端に制される。
静かで、何もない虚無のガラス玉の眼がハリーを映していた。
蒼薇はベットの側にあった3つの荷物もベットの上に無造作に置くと、そのまま自分も乗り上げた。
天蓋のカーテンを白い指先が掴む。
「自分の後始末ぐらい、自分でできる。余計な気遣いは結構だ。」
それだけ言って、蒼薇の姿は天蓋の向こうに消えた。
「っなんっなんだよ!!!!おまえ・・!!!!!!」
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リドルの登場をもう少し遅らせるよていだったころにかいてた下書き。
この後、ハリーが強引に主人公の足を拭いて、ちょっとハリー色を強くする予定だった。と思う・・←
うん、なんかそれじゃあ、フツーすぎるか・・とおもってやめたんだったのか、ハリーフラグはもう少し焦らすためにやめたんだったか忘れました!!!!