「・・・・・・そうだな・・・。」
向けられた言葉にネビルが顔を上げる。
蒼薇の目線より、ほんの少しだけ高い位置にあるネビルの眼に、蒼薇の空虚な黒が映っていた。
「・・・行こうかな・・・。」
はじめて。
蒼薇の唇からはじめて紡がれた了承の言葉にネビルは、一瞬の間のあと
「うん!一緒に行こう!」
言って、ネビルは花のように笑った。
どうして、その誘いに了承したのか
途切れてしまったアークとカノンの代りとして、彼を選んだのか
向けられる優しさに、手にすがり付いて
必要とされる ということは、ココロを満たす
ある種の優越感を人に与える
ソレは喜びだ
だから、彼の誘いに乗って、差し出された彼の、ネビルの手をとったのか
「どんな事をするのかな?誰が教えてくれるのかな。」
隣で楽しそうに放すネビルを蒼薇はちらと見る。
決闘クラブと名付けられたこの集まりは、生徒達の多くの感心を得たらしく、会場に選ばれた大広間は沢山の生徒で賑わっていた。
ザワザワと、明るいノイズ
時折チラリと蒼薇に投げかけられる、友好的とはいえない視線もあったけれども、そんなことはもう今さらだ。
「楽しみだね、蒼薇。」
にこにこと笑みを絶やさないネビルに蒼薇はただ頷いた。
これは、決別だ
蒼薇はゆっくりと一度、まばたきをした。
アークと、カノンのつながりが切れて、たったひとつ。コレだけだという、すがりつく存在を失った自分
独りで、独りで立っていこうと、何度も、何度も誓った自分なのに、矛盾してすがった2人の存在。
その存在を失って、情けないほどに、立っていられなくなった自分
そんな自分に手を差し伸べた、ネビルの手をとった自分。
その伸ばされた手を、放すために。
もう、ネビルが自分に手を伸ばさないように。
決別するために。
蒼薇はネビルの手をとった。
最後に。
コレが、最後
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主人公がネビルの誘いに乗っていたら。という設定で書かれたもの
書きながら、後の展開に詰まったので却下した。<ああん
このまま言っていると、主人公の能力の秘密のひとつが公開されていたと思われるが、私てきにはもっと焦らしたいなvと意地悪根性が出たのが一番の脚下の原因だと思われ(笑