黒い眼、まっくろの。

闇の色をした眼

無感動にただ起こる出来事を映しているだけの様な黒い眼

それがハリーの頭からどうしてかはなれない。



「ネビル、ちょっといい?」

ハリーは有無を言わさないような笑顔をそのカオに貼り付けて、彼を誘った。

「うん、なに?ハリー。」

ハリーの誘いにネビルは屈託のない笑みを受けべて、ハリーの言葉の続きを促す。

それにハリーはネビルの耳元で「ここじゃちょっと・・」と小さく言う。

ネビルは少し驚いたように眼を丸くした後首を傾げてからコックリと頷いた。

肯定の意に、ハリーが自分の斜め後ろのほうでやり取りを見ていたロンとハーマイオニーを眼で促す。


四人はぞろぞろと中庭のほうに歩いていく。


「・・ねぇ、ハリー?いったいなんのよう?」

ズンズンと早足で歩くハリーの横を必死で追いかけながらネビルが問う。

しかしハリーは厳しい面持ちで何も答えない。

ネビルは眉根をよせ困ったようにハーマイオニーとロンのほうもみるが、2人もわからない。と言うように肩をすくめるだけだった。


仕方なく、ネビルは黙ってハリーの横を歩く。


付いたのは人気なの中庭。


できるだけ廊下からも見えないように木の陰に4人は集まったところで、やっとハリーが口を開いた。


「ゴメンネ、ネビル。でもどうしてもひとつ聞きたいんだ。」


謝罪し、そしてハリーはじっとネビルを見る。

やはり厳しい眼だ。

「う、うん。僕に答えれる事なら・・・」

ネビルの言葉にハリーはやっとにっこりとわらって「ありがとう。」と言うと、言葉を続けた。

「昨日のハロウィーンパーティ・・神使はきてた?」

ハリーの口から飛び出した質問にハーマイオニーが眼をぎょっと見開いた。

ゆるゆると、ネビルは首を振る。

「ううん・・・誘ったんだけど・・・でも、だめだった・・・・」

残念そうに首を左右に振るネビルにハリーは「そう・・」とだけ答える。

すぅと、緑色の眼が細まった。

「それだけなんだ。アリガトウ。」

にこりと笑みを浮かべ、ハリーはネビルに言うと「呼び止めてゴメンネ。朝食に行こうか。」と話を振る。

「さんせー。僕もう、おなかペコペコだよ。」

ハリーの言葉にロンが返す。

ネビルも「そうだね。」とハリーの言葉に頷いて3人は足を食道へと向ける。

じっと、ハーマイオニーだけがその場に佇んだままがハリーの背中を見ていた。

と、ロンがくるりと振り返る。

「おーい!何してるんだよ、ハーマイオニー!いこうよ!」

「ええ、今行くわ・・!」

言葉にはっとしてハーマイオニーは彼らの背中を追った。




朝食の席でも事件の話題で持ちきりだった。

チラリと、ハリーの視界に黒色がうつる。

蒼薇=神使の髪色だ。

蒼薇は相変わらず少しのフルーツを皿にもって、紅茶を飲むだけの食事をしている。

ゆっくりでもなく、はやくもなく。一定のペースで行われる食事。

昨夜の事件でどの生徒も大小はあれども、興奮したり、不安がったり・・あるいは愉しんでいるような、そんな中、

彼、蒼薇だけは昨日までと全く変わらない「いつもどおり」にみえることが、ハリーには異常に映った。

やがて蒼薇は食事を取り終えると静かに席を立って、すこし早めのスピードで大広間を立ちさる。

本当に普段と何も変わらない様子だった。

「・・・ハリー・・・。」

ハーマイオニーが呼びかけた。

呼びかけに、ハーマイオニーのほうにハリーはカオを向ける。

ハーマイオニーはネビルがシェーマスとの会話に夢中になっているのを横目で確認してからこっそりとハリーに疑問を投げかけた。

「神使を疑ってるの?」


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これはボツにしようかどうかマジメに迷ったけれども、ハリーそんなに主人公のことちゃんと見てないだろ・・ハーマイオニーでもあるまいし・・と、正気に返ってボツった。
ハリーと主人公の仲をより険悪に、ハーマイオニーとネビルの主人公との仲をちょっと取り持つような、そんなフリになる予定だったと思われる