カツンカツンと石畳がなる。


ヘッドフォンはまだ首にかけたままだから、音楽は流していない。

ノクターンの通りの一角にある、古い店の戸を蒼薇はあけた。

カランとベルの音が軽快になって、薄暗い室内に蒼薇は足を踏み入れる。

「ボージンさ・・・」

店主の名を呼ぼうとして、蒼薇は止めた。

先客が居たのだ。

長いプラチナブロンドがさらりと揺れて薄い色の眼が蒼薇を視界に入れる。

「これは、神使さん。いらっしゃいませ。」

ボージンが客人の体の後ろから、首だけ除かせてカウンターから挨拶した。

それに、蒼薇は慌てて笑顔を作ると「こんにちわ。」と挨拶を返す。

まだジィと視線を外さない先客に蒼薇は「あの・・なにか?」と少し首をかしげて問いかける。

「いや・・失礼。こんなところに、君のような子供が一人で来るのはいささか危険なのではないかね?」

長身のプラチナブロンドの男は蒼薇に不躾な視線を送った事にまず謝罪してから、そういった。

「いえいえ、マルフォイさま。神使さんは随分長い事ノクターンに滞在しているので大丈夫ですよ。」

マルフォイの蒼薇に対する言葉になぜかボージンが媚を売るような声でそう答える。

言葉にマルフォイと呼ばれた男が「ほう・・こんな小さな子供が?」とすぅと目を細めて蒼薇を見た。

蒼薇はマルフォイが言った言葉をぼんやりと聞き流し、ぱちぱちと大きな黒い眼を瞬かせて、ボージンが呼んだ彼の名前を頭の中で反響させていた。


マルフォイ

マルフォイ家・・・・


「ルシウス=マルフォイ・・・さま?」

思わず、フルネームを呼んでしまって慌てて敬称をつける。

「私の名前を知っているとなると・・君は魔法族と言うことでイイのかな?」

低い声でそういわれて蒼薇はどうしようか迷ったが、ふると、首を左右に振った。

否定 の動作にルシウスが眉間にしわを寄せる。

「いえ、オレは純粋の・・・マグル・・です。」

言葉に、ルシウスが露骨に顔をゆがめる。

その様子にボージンが少し慌てた様子で言葉を紡いだ。

「マルフォイさま、そちらの神使さんは先日マルフォイ様がご購入されましたオルゴールの歌い手でございます。」

ボージンの言葉に、蒼薇は眼を見開いて、「アナタが?」といってしまった。


ボージンのいう「オルゴール」というのは、蒼薇がノクターンのあの宿に居ついて間もない頃、きまぐれに宿の窓を開け放し、
夜風に当たりながら唄を歌っていた、翌日にこのボージンが蒼薇を訪ねてきて、蒼薇の歌をオルゴールに込めたいと申し出てきた。

蒼薇は少し迷ったが1つだけという条件と、高額のギャラでその依頼を受け、一曲歌った。


そのオルゴールがどうなったのか、今日はそれを尋ねにココに来たのだが、まさかそのオルゴールが売れていて、

しかも買ったのが目の前のルシウス=マルフォイだということに、蒼薇は面食らってしまった。


「ほぅ・・君があのオルゴールの歌姫か・・・」

「歌姫って・・オレは女じゃありませんけど・・・」

ボージンの言葉に多少蒼薇に対する価値観が代わったのか、柔らかくなった表情でルシウスが言った言葉に蒼薇はもごもごと返した。

どうも、このあたりの人間は自分のことをお嬢ちゃんやらなにやら、女子に間違える。

「それは、失礼した。神使?」

「あの・・蒼薇で結構ですルシウス様。」

蒼薇の言葉に、ルシウスは頷くと、ボージンと再びボージンと話しはじめた。

ルシウスからの視線が外れて蒼薇はホっと息をつくと、きょろりと店内を見渡した。

(もし、このシーンがオレの想像してる場所だったら・・きっと・・・)

店のすこし奥まったところに、ルシウスと同じプラチナブロンドが見えて、蒼薇はやっぱりと思った。

彼がきっとルシウスの息子のドラコ=マルフォイ

パチリとドラコと眼が合って、蒼薇は慌てて会釈すると。ドラコは


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ココで突然。あかん、インスピレーションがもたねぇ・・。と断念(笑
主人公がグリフィンドールではなくスリザリンに入るという設定を脳内で練っていたときに書いたもの。
このあとひねくれた管理人が、スリザリンじゃフツーすぎるか・・と書き直した
このまま、書いていると予定では確か、この後主人公がマルフォイ家にご招待されてドラコと仲良くなる・・?みたいなそんな感じだった気がする<・・・